前の節では安全なパスワードの保存の仕方を説明してきました。しかしあるときには、既にデータベースに保存されている、プライバシーに関わる暗号化されたデータを修正する必要があるかもしれません。データを復号することが必要な時は、既に述べた1方向ハッシュ関数の代わりに、対称鍵暗号アルゴリズムを使うべきです。
Go言語のcrypto
では対称鍵暗号アルゴリズムをサポートしています。二種類の高度暗号化モジュールがあります。
crypto/aes
パッケージ:AES(Advanced Encryption Standard)は、Rijndael暗号化アルゴリズムとも呼ばれます。アメリカの連邦政府が採用しているブロック暗号の標準です。crypto/des
パッケージ:DES(Data Encryption Standard)は対称鍵暗号の標準です。これは現在最も広く使用されている鍵システムです。特に金融データのセキュリティの保護で使われています。かつてアメリカ連邦政府の暗号化のスタンダードでしたがすでにAESにとってかわられています。
これら2つのアルゴリズムは使用方法が似ていますので、以下ではaesパッケージを使ってどのようにこれらのパッケージを使うのかを説明していきたいと思います。
package main
import (
"crypto/aes"
"crypto/cipher"
"fmt"
"os"
)
var commonIV = []byte{0x00, 0x01, 0x02, 0x03, 0x04, 0x05, 0x06, 0x07, 0x08, 0x09, 0x0a, 0x0b, 0x0c, 0x0d, 0x0e, 0x0f}
func main() {
// 暗号化したい文字列
plaintext := []byte("My name is Astaxie")
// 暗号化された文字列を渡すと、plaintextは渡された文字列になります。
if len(os.Args) > 1 {
plaintext = []byte(os.Args[1])
}
// aesの暗号化文字列
key_text := "astaxie12798akljzmknm.ahkjkljl;k"
if len(os.Args) > 2 {
key_text = os.Args[2]
}
fmt.Println(len(key_text))
// 暗号化アルゴリズムaesを作成
c, err := aes.NewCipher([]byte(key_text))
if err != nil {
fmt.Printf("Error: NewCipher(%d bytes) = %s", len(key_text), err)
os.Exit(-1)
}
// 暗号化文字列
cfb := cipher.NewCFBEncrypter(c, commonIV)
ciphertext := make([]byte, len(plaintext))
cfb.XORKeyStream(ciphertext, plaintext)
fmt.Printf("%s=>%x\n", plaintext, ciphertext)
// 復号文字列
cfbdec := cipher.NewCFBDecrypter(c, commonIV)
plaintextCopy := make([]byte, len(plaintext))
cfbdec.XORKeyStream(plaintextCopy, ciphertext)
fmt.Printf("%x=>%s\n", ciphertext, plaintextCopy)
}
上ではaes.NewCipher
(引数keyはかならず16、24または32桁の[]byteとなります。それぞれAES-128, AES-192とAES-256アルゴリズムに対応します。)関数をコールするとcipher.Block
インターフェースを返します。このインターフェースは3つの機能を実現します:
type Block interface {
// BlockSize returns the cipher's block size.
BlockSize() int
// Encrypt encrypts the first block in src into dst.
// Dst and src may point at the same memory.
Encrypt(dst, src []byte)
// Decrypt decrypts the first block in src into dst.
// Dst and src may point at the same memory.
Decrypt(dst, src []byte)
}
この3つの関数は暗号化/復号操作を実装します。詳細な操作はGoのドキュメントをご覧ください。
この節ではいくつかの暗号化アルゴリズムを紹介しました。これらのアルゴリズムは、Webアプリケーションにおける暗号化/復号の必要に応じて異なる方法で使用することができます。基本的な安全性のみを必要とするアプリケーションではAESアルゴリズムを使うことが勧められます。