LoRA: Low-Rank Adaptation of Large Language Models(arxiv)、LoRA(github)をStable Diffusionに適用したものです。
cloneofsimo氏のリポジトリを大いに参考にさせていただきました。ありがとうございます。
8GB VRAMでもぎりぎり動作するようです。
cloneofsimo氏のリポジトリ、およびd8ahazard氏のDreambooth Extension for Stable-Diffusion-WebUIとは、現時点では互換性がありません。いくつかの機能拡張を行っているためです(後述)。
WebUI等で画像生成する場合には、学習したLoRAのモデルを学習元のStable Diffusionのモデルにこのリポジトリ内のスクリプトであらかじめマージしておくか、こちらのWebUI用extentionを使ってください。
train_network.pyを用います。
DreamBoothの手法(identifier(sksなど)とclass、オプションで正則化画像を用いる)と、キャプションを用いるfine tuningの手法の両方で学習できます。
どちらの方法も既存のスクリプトとほぼ同じ方法で学習できます。異なる点については後述します。
DreamBoothのガイド を参照してデータを用意してください。
学習するとき、train_db.pyの代わりにtrain_network.pyを指定してください。そして「LoRAの学習のためのオプション」にあるようにLoRA関連のオプション(network_dim
やnetwork_alpha
など)を追加してください。
ほぼすべてのオプション(Stable Diffusionのモデル保存関係を除く)が使えますが、stop_text_encoder_trainingはサポートしていません。
fine-tuningのガイド を参照し、各手順を実行してください。
学習するとき、fine_tune.pyの代わりにtrain_network.pyを指定してください。ほぼすべてのオプション(モデル保存関係を除く)がそのまま使えます。そして「LoRAの学習のためのオプション」にあるようにLoRA関連のオプション(network_dim
やnetwork_alpha
など)を追加してください。
なお「latentsの事前取得」は行わなくても動作します。VAEから学習時(またはキャッシュ時)にlatentを取得するため学習速度は遅くなりますが、代わりにcolor_augが使えるようになります。
train_network.pyでは--network_moduleオプションに、学習対象のモジュール名を指定します。LoRAに対応するのはnetwork.loraとなりますので、それを指定してください。
なお学習率は通常のDreamBoothやfine tuningよりも高めの、1e-4程度を指定するとよいようです。
以下はコマンドラインの例です(DreamBooth手法)。
accelerate launch --num_cpu_threads_per_process 1 train_network.py
--pretrained_model_name_or_path=..\models\model.ckpt
--train_data_dir=..\data\db\char1 --output_dir=..\lora_train1
--reg_data_dir=..\data\db\reg1 --prior_loss_weight=1.0
--resolution=448,640 --train_batch_size=1 --learning_rate=1e-4
--max_train_steps=400 --use_8bit_adam --xformers --mixed_precision=fp16
--save_every_n_epochs=1 --save_model_as=safetensors --clip_skip=2 --seed=42 --color_aug
--network_module=networks.lora
--output_dirオプションで指定したディレクトリに、LoRAのモデルが保存されます。
その他、以下のオプションが指定できます。
- --network_dim
- LoRAのRANKを指定します(
--networkdim=4
など)。省略時は4になります。数が多いほど表現力は増しますが、学習に必要なメモリ、時間は増えます。また闇雲に増やしても良くないようです。
- LoRAのRANKを指定します(
- --network_alpha
- アンダーフローを防ぎ安定して学習するための
alpha
値を指定します。デフォルトは1です。network_dim
と同じ値を指定すると以前のバージョンと同じ動作になります。
- アンダーフローを防ぎ安定して学習するための
- --network_weights
- 学習前に学習済みのLoRAの重みを読み込み、そこから追加で学習します。
- --network_train_unet_only
- U-Netに関連するLoRAモジュールのみ有効とします。fine tuning的な学習で指定するとよいかもしれません。
- --network_train_text_encoder_only
- Text Encoderに関連するLoRAモジュールのみ有効とします。Textual Inversion的な効果が期待できるかもしれません。
- --unet_lr
- U-Netに関連するLoRAモジュールに、通常の学習率(--learning_rateオプションで指定)とは異なる学習率を使う時に指定します。
- --text_encoder_lr
- Text Encoderに関連するLoRAモジュールに、通常の学習率(--learning_rateオプションで指定)とは異なる学習率を使う時に指定します。Text Encoderのほうを若干低めの学習率(5e-5など)にしたほうが良い、という話もあるようです。
--network_train_unet_onlyと--network_train_text_encoder_onlyの両方とも未指定時(デフォルト)はText EncoderとU-Netの両方のLoRAモジュールを有効にします。
merge_lora.pyでStable DiffusionのモデルにLoRAの学習結果をマージしたり、複数のLoRAモデルをマージしたりできます。
マージ後のモデルは通常のStable Diffusionのckptと同様に扱えます。たとえば以下のようなコマンドラインになります。
python networks\merge_lora.py --sd_model ..\model\model.ckpt
--save_to ..\lora_train1\model-char1-merged.safetensors
--models ..\lora_train1\last.safetensors --ratios 0.8
Stable Diffusion v2.xのモデルで学習し、それにマージする場合は、--v2オプションを指定してください。
--sd_modelオプションにマージの元となるStable Diffusionのモデルファイルを指定します(.ckptまたは.safetensorsのみ対応で、Diffusersは今のところ対応していません)。
--save_toオプションにマージ後のモデルの保存先を指定します(.ckptまたは.safetensors、拡張子で自動判定)。
--modelsに学習したLoRAのモデルファイルを指定します。複数指定も可能で、その時は順にマージします。
--ratiosにそれぞれのモデルの適用率(どのくらい重みを元モデルに反映するか)を0~1.0の数値で指定します。例えば過学習に近いような場合は、適用率を下げるとマシになるかもしれません。モデルの数と同じだけ指定してください。
複数指定時は以下のようになります。
python networks\merge_lora.py --sd_model ..\model\model.ckpt
--save_to ..\lora_train1\model-char1-merged.safetensors
--models ..\lora_train1\last.safetensors ..\lora_train2\last.safetensors --ratios 0.8 0.5
複数のLoRAモデルをひとつずつSDモデルに適用する場合と、複数のLoRAモデルをマージしてからSDモデルにマージする場合とは、計算順序の関連で微妙に異なる結果になります。
たとえば以下のようなコマンドラインになります。
python networks\merge_lora.py
--save_to ..\lora_train1\model-char1-style1-merged.safetensors
--models ..\lora_train1\last.safetensors ..\lora_train2\last.safetensors --ratios 0.6 0.4
--sd_modelオプションは指定不要です。
--save_toオプションにマージ後のLoRAモデルの保存先を指定します(.ckptまたは.safetensors、拡張子で自動判定)。
--modelsに学習したLoRAのモデルファイルを指定します。三つ以上も指定可能です。
--ratiosにそれぞれのモデルの比率(どのくらい重みを元モデルに反映するか)を0~1.0の数値で指定します。二つのモデルを一対一でマージす場合は、「0.5 0.5」になります。「1.0 1.0」では合計の重みが大きくなりすぎて、恐らく結果はあまり望ましくないものになると思われます。
v1で学習したLoRAとv2で学習したLoRA、rank(次元数)やalpha
の異なるLoRAはマージできません。U-NetだけのLoRAとU-Net+Text EncoderのLoRAはマージできるはずですが、結果は未知数です。
- precision
- マージ計算時の精度をfloat、fp16、bf16から指定できます。省略時は精度を確保するためfloatになります。メモリ使用量を減らしたい場合はfp16/bf16を指定してください。
- save_precision
- モデル保存時の精度をfloat、fp16、bf16から指定できます。省略時はprecisionと同じ精度になります。
gen_img_diffusers.pyに、--network_module、--network_weightsの各オプションを追加してください。意味は学習時と同様です。
--network_mulオプションで0~1.0の数値を指定すると、LoRAの適用率を変えられます。
こちらのディスカッションを参考に実装したものです。数式はそのまま使わせていただきました(よく理解していませんが近似には特異値分解を用いるようです)。
二つのモデル(たとえばfine tuningの元モデルとfine tuning後のモデル)の差分を、LoRAで近似します。
以下のように指定してください。
python networks\extract_lora_from_models.py --model_org base-model.ckpt
--model_tuned fine-tuned-model.ckpt
--save_to lora-weights.safetensors --dim 4
--model_orgオプションに元のStable Diffusionモデルを指定します。作成したLoRAモデルを適用する場合は、このモデルを指定して適用することになります。.ckptまたは.safetensorsが指定できます。
--model_tunedオプションに差分を抽出する対象のStable Diffusionモデルを指定します。たとえばfine tuningやDreamBooth後のモデルを指定します。.ckptまたは.safetensorsが指定できます。
--save_toにLoRAモデルの保存先を指定します。--dimにLoRAの次元数を指定します。
生成されたLoRAモデルは、学習したLoRAモデルと同様に使用できます。
Text Encoderが二つのモデルで同じ場合にはLoRAはU-NetのみのLoRAとなります。
- --v2
- v2.xのStable Diffusionモデルを使う場合に指定してください。
- --device
--device cuda
としてcudaを指定すると計算をGPU上で行います。処理が速くなります(CPUでもそこまで遅くないため、せいぜい倍~数倍程度のようです)。
- --save_precision
- LoRAの保存形式を"float", "fp16", "bf16"から指定します。省略時はfloatになります。
12/25時点では、当リポジトリはLoRAの適用個所をText EncoderのMLP、U-NetのFFN、Transformerのin/out projectionに拡大し、表現力が増しています。ただその代わりメモリ使用量は増え、8GBぎりぎりになりました。
またモジュール入れ替え機構は全く異なります。
LoRAだけでなく他の拡張にも対応可能ですので、それらも追加予定です。